職人気質なオヤジ
西条市荒川の山深い場所に建てた工房で、銅やスズを使って物づくりをされている林洋一郎さんをご紹介。
林 洋一郎(はやし よういちろう)さん
昭和15年生 77歳(H29年取材時)
住友重機械工業株式会社で鋳造・鍛造の技術を学んだ。そこで得た技術を活かしてセカンドライフを過ごしたい。リタイア後『今までと違うことがしたい』と言う人も多いが、せっかくなら今までの知識を活かしてもっともっと色々な物を作ってみたいと思い沓掛山荘をつくった。物づくりの楽しさを沢山の人に伝えたいという思いも強く、教室なども依頼があれば喜んで開催したいと語る。
「50歳を過ぎると、男性はセカンドハウスを夢見る。海派と山派に分かれるのではないかな。僕は山派。男のロマンですよ。」と、いたずらっぽく笑う。初めは別子山村でも探していたが、この土地に辿り着いた。しかし、当時この辺りは農地だったため、宅地の申請に少し手間がかかったそうだ。無事に手続きが完了し平成10年「沓掛山荘」が出来、3年ほど後に作業場である「沓掛工房」が完成した。
鋳造(ちゅうぞう)・・・金属を溶かし液体にして、型に流し込む加工法
鍛造(たんぞう)・・・金属を「たたく」ことによって成型する加工法
銅を使った作品は、やかんやお鍋・小物・オブジェ・コップなどがある。
銅板を叩いて伸ばして加工する技術は独学。師匠がいないので、色々なところに出向き、沢山の先生から技術を学んだ。失敗しては、どうすれば上手く出来るか考え、またやってみる。これをひたすら繰り返す。そしてある日、出来る方法を見つけ出す。先生に聞けば一発で解決するが、「自分で見つけ出す」その過程が楽しいから、このスタイルはこれでいい。自分がいいと思えばそれでいい。
工房には、工具や装置がずらり。材料入れなど、身近にある空き缶や、手軽に購入出来るもので作ったアイデアグッズも多数。壁には、物理方程式が書かれたメモが貼られている。「これはなんですか?」と尋ねると、呪文のような言葉が返ってくる。林さんの頭の中には、物理方程式や化学反応式、何をどうしたらどうなるか、知識がぎっしり詰まっているのだろう。知識のない私にはチンプンカンプンだが、楽しそうに説明をしてくださる姿を見て、物づくりの楽しさを感じた。
最近は【スズ】を使い創作活動をしている林さん。物づくりに興味がある人や子供、若い人に楽しさを伝えていきたいという思いを、より現実的にするために、扱いやすいスズでの加工に挑戦中。今、制作しているのは『可愛いネコ』。デザインも林さんが考えている。出来栄えは、女性の反応で判断しているそうだ。一般的にも喜んでもらえる基準。その目安が見せた時に『かわいい~~♪♪』の言葉が出るか。なんとも若々しい判断基準だ。主な判定員は、奥様と娘さん。「目が怖い」「ヒゲが変」などストレートなアドバイスが飛んでくるという。そこから修正していく。
せっかくだからと、簡単に作業工程を見せてくれた。『可愛いカエル』をリクエスト。
スズが固まり、枠を砕く『型ばらし』が一番の楽しみだそうだ。今回の出来は??
林さん「いまいち・・・」の表情!!(十分可愛いものでした。)
次回に期待! しばらくカエルとの戦いが続くことでしょう。
長時間お付き合いいただき大変ありがとうございました。
林さんの生き方や考え方に感銘を受けました。林さんの教えの中から自分が出来ることを見つけて、実践してみたいと思います。
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